カミツキガメを捕まえて食べた
獰猛!危険!そんな言葉でこの時期報じられる外来種のカミツキガメ。捕って食べてみた。
とりあえず田んぼ周辺を歩き回ってみるが成果は得られない。そんなとき釣竿を持った男性が自転車に乗ってこちらへ向かってきた。 チャンス!!水辺の生き物のことを知りたかったら最良の手段はその地域の漁師さんに話を聞くこと、次点で釣り人に話を聞くことだ。彼らは水辺のことに関してはプロ、あるいはセミプロ級の知識を持っている。 さっそく呼び止めて話を聞くと、「ヘラブナ釣ってるとたまに掛かって困るんだよねえ。」との答え!釣れるんかい!!
というわけで竿を出してみることに。釣り人にお礼を言い、さっそく川に向けて釣竿を伸ばす。エサはサンマの切り身だ。 その後も道往くヘラブナ釣り師数名に話を聞いたが、なんと皆さんカミツキガメを釣ったことがあるという。針を外そうとすると噛みついてくるので厄介な存在らしい。ただ、ここ数年は大規模な駆除の成果かあまり見かけなくなったそうだ。 うーん、駆除がうまくいっているというのは素晴らしいことなのだが、なんだか悔しいぞ。
続いて夜になってから釣れたのはスッポン。 しかし徹夜の甲斐もむなしく、スッポンやクサガメなど、狙っていないカメばかりが釣れるだけで終わってしまった。 ひょっとするとこの辺りのカミツキガメは駆除し尽くされてしまったのだろうか。ついに捕獲!!
さっそく伊藤さんの竿がしなる! 釣りはじめて早々に伊藤さんの竿に何かが掛かった!抵抗の仕方を見るにどうやらカメっぽい。こんどこそカミツキガメ捕獲なるか!? 残念。やっぱりカミツキガメじゃない。 釣れたのはミシシッピーアカミミガメ。いわゆるミドリガメである。これもカミツキガメと同じく北米出身の外来種。地元の釣り人の話では「カミツキガメが減ってから今度はこいつが増えた」とのこと。 カメが次々釣れる。本当にカメにとって暮らしやすい川らしい。 その後もクサガメとアカミミガメは釣れるものの、肝心のカミツキガメは姿を現さない。本当にいるのか?と疑念が各自の頭に渦巻きはじめる。 そしていよいよ夕暮れを迎えたその時!! …どうせカミツキガメじゃないんだろうな。と思いながらリールを巻く。 ああああ、カミツキだーーーー!! カミツキガメだーーーー!!! うおおおおおおおおおおおおお!!!夕暮れの川岸に大の大人二人の歓声が響く。 ついに獲ったぜカミツキガメ!体重2.5キロの大物だ!すげえ、本当にいたんだ!いや、いちゃいけないんだけどさ。 かわいい!そしてかっこいい! 後ほどじっくり紹介するが、このカメは本当に造形がすばらしい。いつまで観察していても飽きない! 伊藤さんのいたずら。タバコ吸ってるみたいでかわいい。でもこんなことは絶対しちゃいけなかった…。「……。」辺りが静まり返る。はしゃぎまくっていた僕も伊藤さんも黙り込んでしまった。 幼い頃、冗談のつもりでからかっていた友達が急に本気で怒りだしたときのあの空気だ。 反省。
左カミツキガメ、右ミシシッピーアカミミガメ。裏返すとその体のつくりの差は歴然だ。ところで彼を裏返してそのお腹を見てほしい。甲羅の形が普通のカメと大きく異なっていることに気付くはずだ。 ガードが甘いというかずいぶんと露出が多い。エロいっ! 首も尻尾もマッチョな脚も、甲羅の中にはあまり引っ込まない。 これは原産地の環境における外敵の少なさ故の形態だろうか。 「へっ、他のカメみたいにガチガチにガードしなくても俺を食えるやつなんていねえよ!」という自信の表れのように見える。 そしてもうひとつ、目には見えない特徴がある。
このカメ、危険が迫ると体からくっさい匂いを出すのだ。といっても先ほど紹介したクサガメの比ではない。もう顔がゆがむほどの悪臭である。獣臭というかなんというか、動物質の強烈な匂い。これは困ったぞ…。食べようと思うのですが…
ブラッシング。ほほえましく見えるかもしれませんが、下ごしらえの一環です。さらなる大物を求めて
野宿でも歯磨きと髭の手入れは欠かさない(セルフタイマーで一人で撮ってます)。 欲張りな僕はもう一日野営して粘ることにした。 朝、昼はやはりクサガメとアカミミガメしか釣れなかったが、日が暮れはじめたころに何やら大物が掛かった。やたら重い。流木だろうか。 でっかいカミツキガメでしたああああー!! ついに大物が釣れた!首を伸ばした状態で頭から尻尾の先まで71センチ、体重はなんと4.5キロ!これはもはや猛獣だ。いや怪獣だ。ガメラだ。 もう脳内はアドレナリンドバドバ。ひきつった笑いが止まらない。 この凶暴な顔、そして爪! 見て!この尻尾見て!ワニかゴジラか。いいえ、カメです。 やった!これで食材の量は十分だ。さっそく〆て持ち帰り、調理に取り掛かろう。いよいよ食べます
さて、ついに調理編だがこれが大変だった。 以前にスッポンなら捌いたことがあるので何とかなるだろうと思っていたのだが甘かった。スッポンとは骨格が違いすぎるのだ。 背中側からでは手のつけようがないので、腹側から包丁を入れて内臓を掻き出し、肉を外す。 それでも時間はかかったものの、なんとか肉を取ることができた。 一匹から大体これくらいの量の肉が取れる。左の二つは茹でてしまったもの。 脂肪少なめのきれいな赤身! 大きくておいしそうな肝も取れた。 気に掛かっていた肉の匂いも気にならない。ただ、分厚い皮がひどく臭う。獣臭いのだ。爬虫類のくせに。みなさんもカミツキガメを調理する際は皮をきちんと取り除くよう心がけるようにしましょう。めちゃくちゃ美味い!!
さて、そんなこんなで料理が出来上がった。から揚げとスッポン鍋ならぬカミツキ鍋である。 から揚げ。ぱっと見フライドチキンだが、大きな爪が生々しい。 カミツキ鍋。手持ちの土鍋では収まりきらず、近所から大鍋を借りてきた。 さっそくいただきます! まずはから揚げから! ふはははー。今この瞬間、おまえはカミツカレガメに成り下がったのだー。 いったッ!この僕が印旛沼水系の食物連鎖の頂点に立った瞬間である。 それはいいとして気になるお味の方は…? おいしいっ!!ちり紙放り出してのサムズアップ。 すっごくおいしい。いや、本当に。冗談でも誇張でもなく本当に美味いのだ。 肉質は硬すぎず柔らかすぎず。肉の味は豚のスペアリブと鶏のもも肉の中間といったところ。かなり長時間煮込んだのに肉が硬くないし、味もしっかり濃厚だ。 恐れていたくさみもクセも全くない。スッポンよりも食べやすく、個人的にはこちらの方が好みなくらいだった。 肝も甘みが乗っていておいしい。
肝も甘く濃厚な味わいでおいしい。 そして特筆すべきはカミツキ鍋のスープである。素材の味を知るべく、とりあえず調味料を一切使わずに仕上げたのだが、それでもいくらでも飲めるほど濃い出汁が出ていた。 カミツキ出汁で作ったおじやも当然おいしい。印旛沼以外にもいる!?
伊藤さんが釣り場で「カバキコマチグモ」という毒グモを見つけて興奮していた。危険な生き物はカミツキガメだけではないのだなと思った。記事が面白かったら、ぜひライターに感想をお送りください
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