第四部:無機化学の基礎 無機化学とは(基本)
第四部:無機化学の基礎 無機化学とは(基本) 化合物が 固化・結晶化 するとき,板状,柱状,針状など様々の特徴ある形を示すことが多い。物体は,原子の集まりで,視認される結晶の形は 原子の配列 (空間格子) を反映したもの思われがちである。 しかし,実際には,下図の雪の結晶(六方晶系)と温度・湿度との関係で例示するように, 視認される結晶 の形 は,置かれた環境で結晶がどの方向に
化合物が固化・結晶化するとき,板状,柱状,針状など様々の特徴ある形を示すことが多い。物体は,原子の集まりで,視認される結晶の形は 原子の配列 (空間格子)を反映したもの思われがちである。 しかし,実際には,下図の雪の結晶(六方晶系)と温度・湿度との関係で例示するように, 視認される結晶 の形は,置かれた環境で結晶がどの方向に 発達し易い かに支配され,【金属結晶構造】や【イオン結晶構造】で紹介した結晶内部の原子の配列(空間格子)を直接反映するものではないことが分かる。
しかしながら,例えば雲母が薄く剥がれる,石綿(アスベスト)が細かく裂ける,炭素のみで構成されるダイヤモンドと黒鉛(グラファイト)の特性の違いなど,結晶の特性には, 空間格子 の状況が色濃く反映する。結晶系と格子
結晶系 晶系 ともいい,結晶を結晶軸の数・長さ・各軸相互間の角度などによって原子の 並び方の対称性 を分類したものをいう。
一般的には,三斜晶系( triclinic system ),単斜晶系( monoclinic system ),斜方晶系(orthorhombic system ),六方晶系( hexagonal system ),三方晶系( trigonal system ),正方晶系( tetragonal system ),立方晶系( cubic system )の 7 種 に分けられる。 なお,三方晶系を菱面体(りょうめんたい)晶系( rhombohedral system ),立方晶系を等軸晶系( isometric system )ともいう。 さらに,三方晶系を六方晶系に含めて 6 晶系とすることもある。
結晶を構成する粒子(原子,イオン,分子)の構造単位で,それらを点で置き換えて理想化した網目状の格子を 空間格子 ( space lattice )という。空間格子の最小の繰り返し単位(平行 6 面体)を 単位胞 ( unit cell ),又は単位格子という。 単位胞 の頂点から伸びる 3 つの稜のベクトル〈a, b, c〉を基本ベクトルと呼び,ベクトルの大きさ〈距離〉と単位ベクトルの成す角,α=∠bc,β=∠ca,γ=∠abは単位胞の 格子定数 ( lattice constant )と呼ばれる。結晶系と格子定数の関係を下図に示す。
ここで紹介する 空間格子 は,【金属結晶構造】で紹介した最密充填となる 配位数 12 の ちよう密立方格子,面心立方格子 , 配位数 8 の 体心立方格子 とは異なる結晶の表現方法である。 1850年にフランスのブラベー( Auguste Bravais )が,7 種の結晶系と4種の格子(単純,底心,面心,体心)の組み合わせに対応する 14種の空間格子を分類した。これは, ブラベー格子 ( Bravais lattice )ともよばれる。