【閑さや岩にしみ入る蝉の声】俳句の季語や意味・表現技法・作者など徹底解説!!
【閑さや岩にしみ入る蝉の声】俳句の季語や意味・表現技法・作者など徹底解説!!

【閑さや岩にしみ入る蝉の声】俳句の季語や意味・表現技法・作者など徹底解説!!

俳句は日本に古くから伝わる、伝統的な表現方法の1つとして、現代になっても多くの人たちに親しまれています。 これまでに数多くの俳句が俳人により詠まれており、たくさんの作品があります。 その中でもは

五・七・五の十七音に四季を織り込み、詠み手の心情や情景を詠みこむ俳句。 名句と聞くと、の作品を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか? 秋田便の飛行機から見る月山が好きです。 今日は残念ながら雲に隠れていましたが、松尾芭蕉の句を思い出しました。 雲の峰 いくつ崩れて 月の山 pic.twit.

季語

こちらの俳句に含まれている季語は 「蝉」 で 、 夏の季語(夏を表現する言葉) です。

ちなみに、グレゴリオ暦(現在の暦)で見ると 5 月 27 日は 【7月13日】 に当たり、夏であることが分かります。

意味

「なんて静かなのだろう。石にしみ入るように蝉が鳴いている。」

蝉の鳴き声がうるさいのに、 どうして芭蕉は「閑かさや」と感じたのか という部分が不思議です。

何も聞こえない無の世界、つまり 芭蕉が己の心の中を見つめているのであろう とこの句から推察します。

この句が詠まれた背景

こちらの句も芭蕉が、 山形県にある立石寺に立ち寄った時に詠んだもの です。

この長い旅の間に詠んだ句を集めた作品が、有名な 『おくのほそ道』 です。

✔ 【補足情報】立石寺について

奇岩が多い山で、山全体が修行の場として使用されています。麓の登山口から大仏殿のある奥ノ院までは 1 時間かかり、絶景が拝める景勝地です。

「日いまだ暮れず、麓の坊に宿かり置きて、山上の堂に登る。岩に巌を重ねて山とし、松柏年ふり、土石老いて苔滑かに、岩上の院々扉を閉ぢて物の音聞えず。岸をめぐり岩を這ひて仏閣を拝し、佳景寂寞として心すみ行くのみ覚ゆ。」

「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の表現技法

この句で使われている 表現技法 は・・・

閑かさやの部分の初句切れ

まず、閑かさやの部分にみられる初句切れ(切れ字)は、 余韻を表現する技法 です。

芭蕉は地の文で立石寺の静けさを述べています。実際に見聞きしていない読者にも、初句で静かであることを強調することで、 しんとしたお寺の様子が浮かんでくる効果がある技法 です。

岩にしみ入る蝉の声の部分の暗喩

暗喩法とは 「まるで〜のような」と比喩する文章表現方法 です。

ちなみに、「蝉の声」など擬人化を多用するのは、芭蕉が尊敬している 「杜甫(とほ)」という詩人の影響 もあります。

杜甫とは中国の唐の時代( 8 世紀)に生きた詩人で、「詩聖」と呼ばれるほどの漢詩の達人でした。杜甫は草木や動物を擬人化させる手法を取ることがあり、芭蕉もその影響を受けています。

蝉の声の部分の体言止め

「石にしみ入る」ほどの声で蝉が鳴いていると表現されているため、「閑さや」という部分に 矛盾 を感じます。

芭蕉は「暗喩」の技法を用いて、 精神的な「閑さや」 を表現しています。

そのような俗世の騒がしさから離れた、 異次元の閑かな世界に心が吸い込まれて行く様子 をこの句では表現しています。

【番外編】文人たちの間でセミ論争が勃発

松尾芭蕉が詠んだセミには、 「アブラゼミ(斎藤茂吉説)」「ニイニイゼミ(小宮豊隆説)」 の2説があり、一時期セミの種類を巡って論争になりました。

アブラゼミとニイニイゼミはどちらも日本全国に生息しています。しかし、 鳴き始める時期や鳴き声に違い があり、どちらがこの一句に登場するセミか論争が続いていました。

アブラゼミは 7 月中旬から鳴き始め、「ジリジリジリ」と抑揚をつけて鳴きます。

一方のニイニイゼミは 6 月中旬から 7 月上旬と他のセミより早く鳴き初め、「ジィー」と一定の鳴き声なのが特徴です。

実地調査の結果として舞台となった立石寺ではニイニイゼミが優勢だったため、 ニイニイゼミと断定されました。

作者「松尾芭蕉」の生涯を簡単に紹介!

この句を書いたのは、有名な俳人である 松尾芭蕉 です。

18歳の時に 藤原良忠 という人と主従関係を結び、小間使いとして働き始めます。この藤原良忠は俳句を詠むのがうまく、芭蕉が俳諧の世界に足を踏み入れるきっかけとなりました。

同じ年に主人藤原良忠と一緒に 北村季吟の元に弟子入り をして、本格的に俳句の道を進んで行きます。しかし、24歳の時に藤原良忠が亡くなるという不遇の出来事が起こりました。これにより、芭蕉は俳人として一生を生きて行こうと決めたのです。

ようやく江戸で認知されるようになった頃に芭蕉は俗世に嫌気がさし、旅に出て俳句を詠むことを決意しました。これが、 『おくのほそ道』に続く俳諧と紀行文の誕生 となります。

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  • 1 「閑さや岩にしみ入る蝉の声」の季語や意味・詠まれた背景
    • 1.1 季語
    • 1.2 意味
    • 1.3 この句が詠まれた背景
    • 2.1 閑かさやの部分の初句切れ
    • 2.2 岩にしみ入る蝉の声の部分の暗喩
    • 2.3 蝉の声の部分の体言止め

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