スナバ回路とは?動作原理と定数の決め方を解説
スナバ回路とは?動作原理と定数の決め方を解説

スナバ回路とは?動作原理と定数の決め方を解説

スナバ回路とは、FETスイッチなどの切り替わり時に発生する高周波リンギングを吸収するノイズ対策回路です。ここでは、スナバ回路の定数の決め方、設計計算の方法と設計上の注意点について解説していきます。

降圧DCDCコンバータの例で説明します。 スナバ回路が無い場合、FETスイッチがオンすると、ダイオードの寄生容量に向かってスパイク電流が流れます。 さらに、FETとダイオードのラインに存在する寄生インダクタにより、電流、電圧の共振が起こり、リンギングが発生します。 スナバ回路を設置すると、高周波電流の一部はスナバ回路側に流れます。 抵抗の役割は、高周波のノイズ成分を熱に変えて吸収することです。 これにより、高周波のリンギングを抑えることができます。 デメリットは、スナバ回路のコンデンサへも電流が流れるため、スパイク電流のピークが大きくなってしまうことが挙げられます。

定数選定の手順

1.寄生容量を求める

まず、スナバ回路を実装していない状態でリンギングを測定します。 このときのリンギング周波数を f rg1 とします。 次にダイオードの両端にコンデンサを入れてリンギングを測定します。 リンギングの周波数が f rg1 の半分となる容量を見つけます。 周波数が半分になるコンデンサ容量を C s とします。 これがスナバ容量の基本となります。 また、このときのリンギング周波数を f rg2 とします。 以上より、寄生容量: C p を計算すると以下のようになります。

2.寄生インダクタンスを計算する 寄生インダクタンス: L p は次のようにして計算することができます。 ※L p は入力から寄生コンデンサを経由して戻ってくるまでの経路内の全寄生インダクタンス値の合計値です。 3.抵抗値を決める

抵抗値は寄生LCの特性インピーダンスと一致させることで、抵抗での消費電力が最大化されノイズの減衰量が最大化されます。 したがって、スナバ抵抗: R s は次のように計算できます。 以上でスナバ回路の定数が選定できました。 C s とR s を実装して、問題となるレベルのリンギングが残っているようなら、C s の値を徐々に大きくしていくと減衰量が改善していきます。

スナバ抵抗の損失を計算

スイッチングのオン・オフごとにスナバ回路は充放電されるため、抵抗に損失が発生します。 抵抗に発生する損失は以下のように計算することができます。 ディレーティングを考えても上記以上の許容損失を持った抵抗を選定する必要があります。

スナバ回路設計時の注意点

スナバ回路は、スナバ容量C s を大きくするほどリンギングを低減できますが、下記のような背反があるので注意が必要です。 1.スパイク電流の増加 スナバ容量を大きくするほど、スパイク電流が増大します。 その結果、入力側にスパイクノイズが発生し、伝導ノイズが発生してしまいます。 2.効率の悪化 スナバ回路は、抵抗により損失を発生させることでノイズのエネルギーを消費させています。 そのため、電源の変換効率は悪化してしまいます。 3.実装面積、コストの増大

スナバ容量を大きくするほど、スナバ抵抗に発生する損失が大きくなります。 それにより、許容損失の大きな抵抗を選ぶこととなり、実装面積とコストがアップしてしまうことになります。 以上より、スナバ容量は必要最小限の容量に留めるのが望ましいです。 ノイズ評価で問題にならなければ、リンギングが完全に消えなくてもOKとし、必要以上に容量を大きくしないようにしましょう。

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