トヨタに学ぶ製品開発 ~企画立案から量産まで~
トヨタ自動車が品質の良い製品(自動車)を生み続けられる理由を開発フローに沿って解説します。様々な技術系職場に応用可能と思いますので、ご参考ください。
商品企画及びそれに先立つ新規開発予定車種のためのコンセプト造りのことをFSC(Future Scenario Concept)と呼びます。量産開始の3 年から4 年前の時期に始まり、調査部が作った将来の社会像(=先読み)に見合うような自動車のコンセプトを1 年程度かけて営業企画や海外事業所から集めます。ここでは具体的なスタイリングには言及せず、ユーザーにどのような価値を提供すべきかという視点が重視されます。
そして公募によって集められたコンセプト案を3~5 つまで絞り込み、経営陣へのプレゼンへと進みます。この時点では外観も検討されており、ある程度自動車としてのイメージができる状態になっています。経営陣の評価を経た後に、開発へと即座に進む場合、翌年まで持ち越しになる場合、そして廃案になる場合という3 つの選択肢から結論が出されます。
FSCを通過した案はCP(Concept Planner)へと引き渡され,商品企画段階へと進みます。実際に案件がエンジニアリングの総責任者であるCE(Chief Engineer)に渡された時点から製品企画になりますが、実際にはこれら2 つの企画段階を明確に分けることは難しいようです。
2. 設計構想:量産開始24カ月前
量産開始まで2年を切ると、設計構想の段階に入ります。ここでは、安全、NV(Noise and Vibration)、剛性(操縦安定性)、強度という4大性能をどの水準に定めるかがエンジニアリングの視点から検討されます。
3. K4(構造計画):量産開始23カ月前
4. SE(Simultaneous Engineering):量産開始21カ月前
この段階での主目的は、設計品質を評価して「 造りにくさを排除すること 」です。製品仕様の見直しにより、造る人が造りやすい仕様にすることが、バラツキのない安定した製造品質を保証することの原則だからです。もう一つの目的は、「 原価低減活動 」です。設計開発部門には、企画段階で開発目標値に加えて厳しい原価目標が与えられているため、設計開発部門はこの原価目標を達成するために、さまざまな検討(VE活動)を実施します。生産部門も自らの品質目標や製造作業への影響の度合いなどを考慮して、仕様変更による可能な限りのコスト削減策を提案し、総合的な原価低減活動を展開することになります。
(1) 外注仕入先の参画部品メーカの専門技術を活用して、設計そのものをアウトソースすることも頻繁に行われます。自社の設計室は社員よりも、外注仕入先の設計者のほうが多いという事態もあり得ます。開発初期段階から、外注仕入先の協力を得られるかが、SE活動成功の鍵といえます。 品質保証と原価低減を、造る側である外注仕入先や社内の製造部門と協議 しながら、設計開発段階での製品仕様を固めていくSE活動は、「デザイン・イン」と呼ばれています。
(2) 生産技術部の参画① 作業性DA 作業者の動作をデジタルマネキンでシュミレーションし、試作車でのチェックをしていきます。② 見栄えDA 内装部品間の合わせやボディの合わせなどモックアップや部分モデルでは十分検討できない細部の見栄えをチェックします。③ ワイヤーハーネスDA ワイヤーハーネスは難物であり、以前は開発の最終段階で多くの異音問題を解決せねばならなかった部分をここで潰しこんでいきます。
5. 原図:量産開始20カ月前
6. CV評価:量産開始12カ月前
7. 生準(RE:Resident Engineering):量産開始6カ月前
この段階では業務遂行が工場の現場に移されるため、ここでは、製造品質問題と残存している設計品質に対し、現物確認によって確認と対策が行われます。ここで用いる現物は、本型および本工程(正規生産工程)で作られたもので、CVの試作品とは異なります。
①1次号試(1A)、2次号試(2A) 実際の量産工程(号口)を試行するため、1次号試(1A)、2次号試(2A)と呼ばれます。この段階で初めて実際の自動車製造ラインでの車両組み立てが実施され、製造面での問題を抽出して、対策を決めていきます。
②量確(MPT) 1Aで得られたフィードバックにより設変した部品で確認する「量確」と呼ばれるイベントがあります。ここでは品質問題はほぼ潰しこまれていることから、製造ラインでの生産台数を増やし、製造面で問題がないかの確認が主となります。
③品確(QCS) 量産開始を判断するためのイベントのため、この段階では製造面でも問題が残っていることはありません。品質の最終確認が行われます。
8. 車両L/O
実際にお客様にわたる車両がラインを離れることから、L/O(Line off)と呼ばれます。また、SOP(Start Of Production)とも呼ばれます。