【研究計画書の書き方を解説】研究計画書・依頼文書・説明文書・同意書・同意撤回書のフォーマットもあるよ!
「研究計画書って何を書いたら良いの?」「研究計画書以外の書類の書き方を教えて」「研究計画書や同意書のフォーマットが欲しい」といったお悩みを解決できる記事になっています。実際に看護師として働きながら大学院に進学して研究を学んだ筆者が解説します。
「研究計画書」「研究依頼文書・研究承諾書」「研究説明文書」「同意書」「同意撤回書」のフォーマット(カメさん作成)
下記はカメさんの作った「研究計画書」「研究依頼文書」「研究説明文書」「同意書」「同意撤回書」のフォーマットです。「研究計画書」「研究依頼文書・研究承諾書」は例として、アンケート調査の内容を載せています。また「研究説明文書」「同意書」「同意撤回書」には例としてインタビュー調査の内容を載せています。良かったら使ってください。
参考記事 研究計画書のフォーマット 研究依頼文書・研究承諾書のフォーマット 研究説明文書のフォーマット 同意書のフォーマット 同意撤回書のフォーマット「いつ」研究計画書を書くの?
まずは研究全体の流れについて解説します。
つまり、研究計画書を作成するのは研究テーマが決定した後です。
参考記事「なぜ」研究計画書を書くの?
研究計画書の1番の目的は適切な研究の準備のためです。
また、院内の研究倫理審査委員会の審査を受けるときに必要となります。研究計画書を提出して「研究計画に倫理的な問題がない」と承認を得てから、実際の研究へと進みます。
倫理審査の審議では何が重要視される?
研究計画書の具体的な書き方
表紙所属する施設の倫理委員会が提示している研究計画書のフォーマットによっては、表紙を使用しない場合もあります。所属施設の規則を確認するようにしましょう。
研究の名称これは研究のタイトルのことです。以下の内容が一目で分かるようなタイトルが理想です
例えば、「大学病院看護師を対象とした看護実践能力尺度と職場環境尺度の関係:アンケートを用いた横断研究」であったり、「がん患者に対するアロマを用いた手浴による不安改善効果:準ランダム化比較試験」など、一目で研究の内容が分かるタイトルが理想です。
研究の背景・目的・意義研究の背景・目的・意義の大項目には、それぞれ以下の小項目を記載します。
研究の背景研究の背景では研究を計画するに至った経緯と、解決しようとする問題点を記載します。
研究の動機なぜこの研究を行おうと思ったのかを記載します。
研究を行おうと思ったきっかけであったり、研究の必要性を具体的に記載しましょう。
研究の動機を記載するためには、研究のきっかけとなった臨床疑問を明確にすることが重要です。臨床疑問について詳しく知りたい方は下記の記事を参照してください。
文献検索の結果臨床疑問について文献レビューした結果を完結に記載しましょう。
特に、何が明らかになっていて何が明らかになっていないのかを記載することがポイントです。
臨床疑問についての「社会的な動向」や、「先行研究(過去にどのような研究が行われたか、明らかにされていることとされていないこと)」を明確に記載(文献レビューの結果)し、研究を行う必要性を示しましょう。
参考文献論文の引用について
背景では論文や学会報告を引用して、研究の合理性・妥当性を説明します。その際には、報告されている内容を具体的に示します。研究結果の数値も併せて記載することが理想です。引用した資料は、研究計画書の最後の「引用文献」に記載しましょう。
背景では、社会的な状況のような大きなことから書き始めて、だんだんと研究の内容に寄せて具体的にしていくことがポイントだよ。
研究目的研究目的には研究で明らかにしようとしていることを記載します。
研究背景では、研究の基礎となる臨床疑問及び臨床疑問についての文献レビューの結果を記載しました。その結果をP I(E)COで整理することにより研究疑問(研究で明らかにしたいこと)、研究目的が特定されます。
参考記事 研究の意義研究の意義では、なぜこの研究が必要なのかを簡潔に記載します。背景で記載した文献レビューの内容を踏まえて考えましょう。
研究の方法・期間 研究デザイン研究目的の項目では、PI(E)COを使用して研究疑問を明確にしました。ここではPI(E)COを実現することのできる研究デザインを検討します。
研究デザインにはどんなものがあるの?研究デザインの名称以外に記載することは?
研究対象 対象者の選定方法まずは対象者の選定方法です。対象は誰なのか、いつ・どこで選定するかを具体的に記載しましょう。
選定基準・除外基準 選定基準 除外基準 サンプルサイズ(対象人数・n数)サンプルサイズ(対象人数・n数)とは研究目的を達成するために必要な人数のことです。多すぎず少なすぎない、妥当な人数を設定する(明確な根拠を示した上で)ことが倫理的にも重要とされています。
参考記事疫学とは?
研究期間研究期間とは、研究目的を達成するために必要となる期間のことです。
研究期間は開始日と、データ収集期間、終了日を考えましょう。
開始日とは倫理審査の認定を受けた後のことです。
データ収集期間とは、対象者からデータを収集する期間です。
終了日とは、研究発表や論文の投稿が終了する予定のことです。
データ収集・解析方法研究のデザインと対象が決まったので、ここからは「どのようにデータ収集を行うのか」「どんなデータを収集するのか」「収集したデータをどのように分析するのか」を具体的に検討します。
データ収集場所データ収集を行う場所を記載しましょう。
論文や学会発表ではプライバシー保護に注意
データ収集方法データをどのように収集するかを具体的に記載しましょう。
データ収集項目 データ収集項目とは?データ収集項目とは、基本属性(年齢、性別、看護経験年数、所属部署など)やアンケートに使用する尺度(例えば職場環境尺度のようなもの)などです。
電子カルテからデータを収集する場合には、収集項目(年齢、性別、疾患名、現病歴、血液データの項目、家族背景、看護記録、転倒歴など)を詳細に記載しましょう。
また尺度を使用する場合は、尺度開発の先行研究はあるのか、それとも独自で作成したものなのか、どのような評価指標か(当てはまる5〜当てはまらない1の5段階で評価)など、初めて見る人でも概要が分かるように詳細を記載しましょう。
質的研究であれば、面接法の際のインタビュー内容や、参加観察法の際の観察項目を記載する必要があります。
参考記事尺度やアンケート調査に関しての詳細は下記の記事でまとめています。興味のある方は下記を参照してください。
参考記事質的研究における面接法や参加観察法については下記の記事で詳しく解説しています。興味のある方は参照してください。
研究計画書は添付資料も重要
「主要評価項目」と「副次評価項目」の設定 主要評価項目とは?主要評価項目(primary endpoint/primary outcome)、この研究で最も明らかにしたい評価項目です。なぜこの研究でその主要評価項目を採用したのかの根拠も記載しましょう。
主要評価項目は1項目のみ設定する事が推奨されています。
検定の多重性に注意
副次評価項目とは?副次評価項目(secondary endpoints/secondary outcome)は、主要評価項目の補足や、主要評価項目とは異なる視点で有効性を評価する指標です。
データ解析方法収集したデータをどのように分析するかの計画を記載します。
データ収集後に分析方法を考えると、データの過不足が生じる可能性があります。そのため、事前に分析方法を考え、確実なデータ収集項目を計画しましょう。
データ分析の項目には、統計解析や質的分析方法を記載します。
量的研究では、記述統計や推測統計(t検定など)について具体的な方法を記載します。例えば、どのような分析方法で、正規性を確認し、どのような分析方法で有意差を確認するのか。また有意差の基準の値はどうするかなどを詳細に記載します。
参考記事質的研究でも同様に、収集したデータをどのように分析するかを詳細に記載します。例えば、面接法により逐語録を作成する場合などは、逐語録からカテゴリー化を行う手順や、カテゴリー化したものを分析する方法などを記載します。
参考記事 データ管理 匿名化の方法研究対象者個人が特定されないために、どのように匿名性を確保するのかを記載します。
連結可能データと連結不可能なデータの明記も忘れずに
連結可能データとは、必要時に個人が識別できるデータのことです。つまり「対象者N o.」と「生年月日や氏名、職員番号等」が連結しているデータです。
一方で連結不可能データとは、それだけでは個人が特定できないデータのことです。
データの保管方法収集したデータを、どのように保管するのかを記載します。
連結可能データの管理方法は?
連結可能データについて上記で解説しました。ここでは連結可能データの取り扱い(管理方法)について解説します。
データの破棄方法データをいつまで保管し、どのように破棄するかを記載します。
データの二次利用について
倫理的配慮 自由意思の尊重研究対象者の自由意志を尊重することを明記します。
プライパシーの保護研究対象のプライバシーをどのように保護するかを具体的に記載します。
利益と不利益、不利益を最小化する対策 予測される利益(効果)この研究に参加することによる研究対象者の利益を記載します。
予測される不利益(リスク)この研究に参加することによる研究対象者の不利益・不利益を最小にするための対策を記載します。
不利益とは介入による副作用や危険性、調査項目・拘束時間による精神的負担などです。調査項目、拘束時間等は、詳細で正確な記載を行うようにしましょう。
また研究対象者の不利益を最小化する方法しては、上記の例だと「アンケート内容は個人の評価とは関係がないことを明示する」等を記載します。また精神的負担に対して健康被害が生じた際の対応については、下記の「健康被害が生じた場合の対処」に記載しましょう。
健康被害が出た場合の対処ここでは、研究を実施することで健康被害が出た場合の対処方法を記載します。上記のリスクを最小化する方法とは異なります。ここでは実際にどのように対応するかを記載しましょう。
インフォームド・コンセントを取得する方法インフォームド・コンセントをどのように取得するかを記載します。研究の説明方法や、説明するタイミング、誰が説明するのか等を具体的に記載しましょう。
「インフォームド・コンセント」と「インフォームド・アセント」の違いは?
インフォームド・コンセントとは、「説明を受け納得したうえでの同意」を意味する言葉です。つまり研究参加者が、研究内容に関して十分な説明を受けて理解・納得した後に、自由意思によって得られた研究参加の同意のことです。
インフォームド・アセントとは、子どもに対して使用される用語です。研究の内容を、子どもが分かりやすいように説明し、研究対象の子ども本人の納得を得た上で研究参加の同意を得ることです。
「前向き研究」と「後ろ向き研究」でインフォームド・コンセントの取得方法は異なる?しかし、既存データ(診療録など)を用いる後ろ向きの研究では、インフォームド・コンセントは必須ではありません。
後ろ向き研究の場合は、インフォームドコンセントの代わりに、ポスタ一やホームページでデータ利用の拒否機会を提供します(オプトアウト)。
オプトアウトとは?
報告・情報公開 研究結果の公表研究で得られた結果をどのように世間に公表するかを記載します。公表する方法は主に学会発表や論文投稿です。
研究対象者からの相談などへの対応研究対象者から相談があった場合にどのように対処するかを記載します。
研究にかかる費用負担と謝礼の有無この研究に参加することで研究対象者にどのくらい費用負担があるのか、支払われる謝礼はあるのかについて記載します。
研究資金と利益相反研究資金がどこから出ているのかを記載します。
また、企業からの資金、物品、情報の提供の有無を明記しましょう。企業との連携がある場合は「利益相反委員会」の承認を得る必要があります。
利益相反とは?
利益相反(conflict of interest:COI)とは、学術機関や研究者個人としての責任と企業や政府、団体等から得られる経済的な利益が衝突・相反する状態のことです。
利益相反それ自体は問題ではありません。利益相反への対応を適切にしているかが問題となります。つまり、企業の利益に傾かないようにしていますと明示することが重要です。
引用文献研究計画書内で引用した文献を記載します。論文投稿時の引用文献の記載方法と同様です
参考記事 添付資料研究実施に関する資料を添付します。研究対象に関わるものは全て添付した方が良いでしょう。研究に参加した際に、対象者がどのような資料を使用するかも倫理審査において重要なポイントです。
研究依頼文書・研究承諾書 研究の同意に関する資料研究対象者への同意が必要な場合は、研究説明文書、同意書、同意撤回書が必ず必要になります。
研究説明文書ただし、研究対象者に文書または口頭で説明する際に使用しますので、専門用語は使わず、出来るだけ平易な言葉に変換して記載しましょう。
同意書研究説明文書による説明を十分に受けた上で、研究参加に同意するかどうかを確認します。
対象者用と研究者用で、同じものを2部準備しましょう。2部準備することで、お互いに書類を保管することができます。
同意撤回書同意後に参加を辞退したい時に使用する文書です。
データ収集用紙研究で使用するデータ収集用紙です。データ収集用紙とはアンケートやテスト等の評価表のことです。
ポスター研究実施をお知らせする提示ポスターも添付します(オプトアウト)
研究のタイトルや概要、研究対象者、研究に使用されるデータ、データ収集の期間等を記載します。研究対象者が、自分のデータを研究に使用されたくない場合の連絡先を明記することが、倫理的に重要です。
おまけ:倫理審査のための研究計画書に書くべき項目
ここまで、一般的な研究計画書の項目を解説してきました。最後に「おまけ」として厚労省等が提示する倫理指針において説明されている研究計画書の記載項目を載せておきます。
倫理指針によると研究計画書には以下の項目を記載するから必要があるとされています。この指針に基づいて独自のフォーマットを作成している施設が多いため、所属施設の倫理委員会のHP等を確認して研究計画書のフォーマットがないか確認しましょう。
この項目をすべて記載するのはかなり骨が折れるね。もし自施設のフォーマットが無い場合は、「研究計画書 倫理審査」で検索すると複数の施設の研究計画書に関するフォーマットが出てくるから活用しよう。
まとめ
また研究計画書では、自分の研究の背景となる理論などに深入りする必要はありません。実際に研究を行った際に倫理的に問題が無いかを中心に記載します。研究対象者のことを最も優先する必要があるため、研究対象者も利益・不利益は特に重要な項目です。
研究データの入力作業やインタビューデータの文字起こしに悩み方へ量的な研究では統計解析のために膨大なデータ(アンケート調査のデータなど)を入力する作業が必要となります。また、質的研究ではインタビューデータ等の音声データを文字起こしする作業が必須です。これらの作業は単純作業ですが、多大な労力と時間を要します。また正確性も重要になります。そのため、データ入力を専門業者や文字起こし有料サービスに依頼することも1つの選択肢だと思います。
参考・引用文献
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