奥の細道 朗読
松尾芭蕉『奥の細道』より「武隈の松」です。能因法師は西行とならんで芭蕉が憧れていた人物で「奥の細道」ではたびたび言及されています。旅に生き旅に死んだような人です。その能因法師ゆかりの【武隈の松】です
武隈の松にこそ、め覚る心地はすれ。根は土際より二木にわかれて、昔の姿うしなはずとしらる。先能因法師思ひ出。往昔(そのかみ)、むつのかみにて下りし人、此木を伐(きり)て名取川の橋杭(はしぐひ)にせられたる事などあればにや、「松は此たび跡もなし」とは詠たり。代々、あるは伐、あるは植継などせしと聞に、今将千歳のかたちとゝのほひて、めでたき松のけしきになん侍し。
「武隈の松みせ申せ遅桜」 と、挙白と云ふものゝ餞別したりければ、
桜より松は二木を三月超し
現代語訳 語句■武隈の松 岩沼の竹駒神社の西北約500メートルの位置にある根元から二つに分かれた松。歌枕。「うゑし時ちぎりやしけむたけくまの松をふたたびあひ見つるかな」(後撰和歌集 藤原元善朝臣)。なお『曾良旅日記』との比較から、前章「笠島」と順序が逆であることがわかっている。意図は不明。 ■目覚る心地 「いづくにもあれ、しばし旅だちたるこそ、目さむる心地すれ」(『徒然草』15段) ■二木 「たけくまの松はふた木を都人いかゞととはばみきとこたへん」(後拾遺・雑四 橘季通)、「たけくまの松はふた木をみ木といふはよくよめるにはいらぬなるべし」(後拾遺・雑五 僧正深覚)。 ■能因法師 988-?。平安時代中期の歌人。俗名橘永愷(たちばなのながやす)。父は肥後守橘元愷(たちばなもとやす)か?中古三十六歌仙の一人。歌論書『能因歌枕』。清少納言の親戚で、『枕草子』からの影響が見える。和歌を藤原長能(ふじわらのながとう)に学び、歌道師承の初例とされる。その後、文章生となるが26歳で動機不明の出家をする。はじめ融因、後に能因と名乗り摂津国古曾部(大阪府高槻市)に住んだため古曾部入道とも呼ばれた。「都をば霞とともに立ちしかど秋風ぞ吹く白河の関」の歌を都にいながら詠みあまりの出来のよさに半年間館で肌を焼き、ふたたび皆の前に顔を出し、陸奥へ行ってきたことにして歌を発表した逸話は有名。百人一首に「嵐吹く三室の山のもみぢ葉は 竜田の川の錦なりけり」が採られている。 ■往昔むつのかみにて下りし人 陸奥守藤原孝義。武隈の松を切って橋の木材にしたという(袖中抄、袋草紙)。 ■名取川 仙台の南方、名取平野を東に流れ太平洋に注ぐ一級河川。河口付近で広瀬川、笊川(ざるがわ)と合流する。歌枕。「埋もれ木」が産出されたため、出世しないで朽ち果てる比喩の「埋もれ木」の縁語となった。 ■「松は此たび跡もなし」 「みちのくにふたたびくだりて、後のたびたけくまの松も侍らざりければよみ侍りける/たけくまの松はこの度跡もなしとせをへてや我はきつらん(陸奥に再び下って、二回目の今回は武隈の松の姿がなかったので詠んだ。武隈の松は今回の旅では跡形もなくなっていた。前回から千年を経て私は来たのだろうか)」(後拾遺・雑四 能因法師) ■挙白 草壁挙白(?-1696)芭蕉門人。江戸在住。「白」は杯の意で、「挙白」は酒をすすめること。榎本其角の紹介で芭蕉門下に入った。天和3年(1683年)榎本其角らと「馬蹄二百句」を編纂。「虚栗(みなしぐり)」にも句が見える。
解説 朗読・訳・解説:左大臣光永百人一首 全首・全歌人 徹底解説 百人一首のすべての歌を、歌の解説はもちろん、歌人の人物・歌人同士の人間関係・歴史的背景など、さまざまな角度から解説しました。単に「覚える」ということを越えて、深く立体的な知識が身に付きます。
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