金子みすゞ 「大晦日と元日」「夢売り」(『金子みすゞ全集』より)
大晦日と元日兄さまは掛取り、母さまはお飾り、わたしはお歳暮。町じゅうに人が急いで、町じゅうにお日があたって、町じゅうになにか光って。うす水いろの空の上、鳶とんびは静かに輪を描かいてた。兄さまは紋付き、母さまもよそゆき、わたしもたもとの。町じ
雪ふり蟲 いちはやく こどもはみつけた とんでゐる雪ふり蟲を 而も私はまだ 一つのことを考へてゐる 初冬の詩 そろそろ都會がうつくしくなる そして人間の目が險しくなる 初冬 いまにお前の手は熱く まるで火のやうにな.
室生犀星 「切なき思いぞ知る」(詩集『鶴』より)切なき思ひぞ知る 我は張り詰めたる氷を愛す。 斯かかる切なき思ひを愛す。 我はその虹にじのごとく輝けるを見たり。 斯る花にあらざる花を愛す。 我は氷の奥にあるものに同感す、 その剣のごときものの中にある熱情を感ず、 我はつねに.
三好達治 「雪」(詩集『測量船』より)雪 太郎を眠らせ、太郎の屋根に雪ふりつむ。 次郎を眠らせ、次郎の屋根に雪ふりつむ。 作者と作品について 作者三好 達治(みよし たつじ) 1900年(明治33年)~1964年(昭和39年) 大阪府大阪市生まれ 作品.
山村暮鳥 「ランプ」「夜の詩」(詩集『風は草木にささやいた』より)ランプ 野中にさみしい一けん家 あたりはもう薄暗く つめたく はるかに遠く ぽつちりとランプをつけた ぽつちりと點じたランプ ああ 何といふ眞實なことだ これだ これだ これは人間をまじめにする わたしは一本の枯木の.