ドキュメンタリー映画関係者から高い評判を集めるトゥルー/フォールス映画祭
ドキュメンタリー映画関係者から高い評判を集めるトゥルー/フォールス映画祭

ドキュメンタリー映画関係者から高い評判を集めるトゥルー/フォールス映画祭

【第82回】(アメリカ) インターネットの発達と同時に新たに生まれた“フェイクニュース”問題。その真偽を見極めたいとする人たちの需要の表れでしょうか。ドキュメンタリー業界が今、活況を呈しています。

各映画祭では製作中の映画の出資者・会社を募るファンドを設けているところが多いが、本映画祭が2007年から実施しているトゥルー・ライフ・ファンドの場合は一味違う。観客のノンフィクション映画の製作費と主題への意識を高めてもらおうと行われているもので、映画祭側が毎年1本、対象作品を選出。映画に共感した人は会場やインターネットを通して寄付するというシステムだ。今年の作品は、アフガニスタンのタリバン政権に命を狙われ、亡命した家族のドキュメンタリー、ハッサン・ファジリ監督『ミッドナイト・トラベラー(原題) / Midnight Traveler』(2019・アメリカ、イギリス、カナダ、カタール)だった。

ちなみに過去本企画で上映された『追いつめられて ~アメリカ いじめの実態~』(2011・日本劇場未公開。NHK BS で放送)は3万ドル(約330万円。1ドル=110円換算)、ジョシュア・オッペンハイマー監督『ルック・オブ・サイレンス』(2014)には3万5,000ドル(約385万円)、『ソニータ』(2015)には4万3,500ドル(約478万5,000円)が贈られている。その金額以上に、多くの人の応援が力となって作品を後押ししたのは言うまでもない。

交通の便の悪さも交流を深めるには有効

ラグタグ・シネマに併設されているパブは山形国際ドキュメンタリー映画祭でいう香味庵クラブのような溜まり場で、関係者が情報交換をする。

映画祭で出会ったアメリカの映画関係者たちと連日ラグタグで情報交換する。(写真左から)評論家のヴァディム・リズホフ(FILMMAKER誌など)、同ジョーダン・クロンク(FILM COMMENT誌など)、ニューヨークの映画館Quad Cinemaの編成担当マイカ・ゴットリーブ、動画配信サイトMUBI編成担当のダニエル・キャズマン。

「しかも空港にタクシーはなし。空港からダウンタウンまで車で約30分かかるため、“Uber Taxi”を手配しようとしていたら、空港で一緒になった『リーズン(英題) / Reason』(2018・インド)のアナンド・パトワルダン監督が、映画祭が用意してくれた送迎車への同乗を誘ってくれました。パトワルダン監督はIDFA2018で最高賞を受賞したインドを代表するドキュメンタリー作家です。著名監督に話しかけられるのは映画祭ならではの楽しみですし、困った時は皆で助け合いましょうというフレンドリーな雰囲気で旅をスタートさせることができて充実していました」(有田さん)

ただし、やはり地方都市ゆえ映画祭会場近くのホテルはすぐに満室。日中はシャトルバスが走っているが夜は23時までなので、Uber Taxi でタクシーを手配するも台数が少ないため捕まえにくいなど難点もあるという。一方で、YIDFF同様、参加者が集まる場所は限定されており、本映画祭の場合は、ラグタグ・シネマに併設されているパプが社交場となり、面白い情報がすぐに入手できたという。

Netflixなどの登場で変化するDoc業界

サニーフィルムの新作『ドリーミング村上春樹』は新宿武蔵野館、ヒューマントラストシネマ有楽町、YEBISU GARDEN CINEMAにて今秋公開。(C)Final Cut for Real

劇映画同様、ドキュメンタリー映画業界にも変化の波が押し寄せている。ドキュメンタリー業界で影響力のあるIDFAや北米最大のドキュメンタリー映画祭 Hot Docs などは、欧米のテレビ局が出資した作品が評価されてきたという。しかしIDFA2018で最高賞を受賞した『リーズン(英題)』は240分の長尺のインド映画で、業界関係者は大きな衝撃を受けたという。