関東のざこ煮・ざっこ煮・小魚煮・雑魚佃煮について
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関東のざこ煮・ざっこ煮・小魚煮・雑魚佃煮について

「関東で行われている水路での地獄網で小魚をとる」関東で「ざっこ」、「ざこ」、「小魚」などと呼ばれているものをまとめる。同様のもので「もろこ」、「はや」があるが別項とする。 関東で「ざっこ(雑魚)」はコ

関東で「ざっこ」、「ざこ」、「小魚」などと呼ばれているものをまとめる。同様のもので「もろこ」、「はや」があるが別項とする。 関東で「ざっこ(雑魚)」はコイ目コイ科、十脚目テナガエビ科の淡水生物である。主流はモツゴとタモロコなどの小魚で、ここにスジエビ、テナガエビが混ざる。ともに淡水の比較的ながれのない水路や池(沼)、湖などに多い。例えば流れのあるところにいるウグイやオイカワなどは、関東では「ざっこ」には入らない。 関東は平安時代から水田耕作も畑作も発達し、耕作地や住宅地域での土地開発が国内でももっとも進んだ地域である。 鎌倉時代、室町時代、江戸時代と関東は政治的な中心地でもあった。ちなみに室町時代、政治の中心は京都にあったかのように見えるが、関東は明らかに独立国家であって、独立した政治が行われていた。 時代が進むとともに土地改良が進み、水路や運河が発達する。この膨大に広がった水域である、用水路、水路、運河を住み家とするのがコイ科の小魚とテナガエビ科の小エビである。これをとる漁は今でも関東平野でほそぼそと続けられている。 江戸時代の江戸御府内をはじめ関東平野全域に、たくさんの川と沼がある。今でも江戸時代葛飾であった東京都隅田川東岸、群馬県南部の埼玉県・栃木県茨城県にまたがる地域と、霞ヶ浦、北浦、手賀沼、印旛沼などは特に広い水域をもち、ときに水郷とさえ呼ばれている。 関東平野は、もともと広大な水域を持っていた上に、より魚を取りやすい場所である水路が発達したために様々な水産加工品、料理が生まれる。 江戸時代初期から大川河口域にある佃島で、江戸の猟師町で揚がった小魚類を煮上げて、浅草や日本橋の魚河岸などで商っていた。これで小魚類を醤油で煮たものを「佃煮」と呼ぶようになったとされる。今や「佃煮」は今や水産物を醤油で強く煮つめたものの総称になってさえもいる。 ただ、佃島が関東で小魚を煮て食べた発祥の地とは思えない。この小魚を煮た「佃煮」を集めるとわかることだけど、関東平野は現在、「佃煮」と呼ばれる食品のもうひとつの発祥の地である可能性がある。「佃煮」を語るとき枕詞のように佃島が登場するのはいかがなものかと思うがどうだろう。 ちなみに茨城県や利根川周辺に「煮干し」と呼ばれるものがある、汽水域、淡水域の生物を塩水で煮て、放冷したものである。こちらの方が歴史は古いと思っている。現在の「佃煮」は江戸初期は江戸府内だけのものだった可能性が高い。関東で醤油が手に入りやすくなった江戸時代中期以降に醤油味の煮物である「佃煮」が本当の意味で誕生したのだと思っている。 さて、江戸(汽水域)を中心にした醤油味で小魚を煮たものと、関東平野のもの(汽水域と純淡水域)は歴史的にも原材料的にも入り混ざっていることも述べておかねばならない。

茨城県猿島郡境町の「ざっこ煮」

茨城県猿島郡というのは平安時代にも決して僻地ではなく、桓武天皇の賜性平氏のなかでも武家平氏が拠点を気づいた場所である。なぜここに賜性平氏がいたのか、それは多くの河川、道が集まる場所だったからだ。現在の地図を見ても渡良瀬川、利根川が合流したすぐ下流にあり、対岸は歴史的にも江戸時代の交通史的にも重要な関宿である。 この猿島郡と古河市は茨城県の淡水魚食文化を持つ地域のひとつである。 写真はモツゴ、タモロコ、テナガエビ(スジエビ)で明らかに天然もので、近場でとれたものだと思っている。 ほどよい甘味で、エビの香ばしいような風味、コイ科の魚のわた(内臓)の苦さが感じられて非常にうまい。 [アライストアー 茨城県猿島郡境町]

千葉県栄町の「ざっこ煮」

千葉県印旛郡栄町は利根川、印旛沼、長門川、将監川と広大な淡水域がある。千葉県の大きな湖(沼)というと手賀沼と印旛沼だが、今でも実際に漁が行われているのは印旛沼だと考えている。 栄町で作られている「ざっこ煮」はモツゴ、タモロコに大小があり、スジエビが混ざっている。明らかに天然ものである。 千葉県は醤油どころなので味つけも比較的あっさりしており、ワタの苦さが生きていてとてもうまい。 「ざっこ煮」の名品といってもいいだろう。 [北総水産 千葉県印旛郡栄町]

東京都墨田区京島キラキラ商店街の「ざっこ煮」

下町 ざっこ煮

東京を代表する人気商店街もあり鮮魚店で買ったもの。 下町らしく淡水魚などを売っていて、昔ながらの魚屋さんぜんとした店。墨田区には今でもウナギ、ドジョウなどにコイの洗いや、淡水魚の佃煮などを出す料理店がある。 この下町が古くからの淡水魚食分化の地域であることが明白にわかる。 この店では他にも小ブナ、ワカサギ、イナゴなどの佃煮も売っている。 「ざっこ(煮)」はほぼ総てモツゴで大きさが揃っていることから、養殖物かも知れない。東京の下町らしく甘さ控えめで味は抜群にいい。 近くにあったら、定番的なおかずにしたいといったものだ。

茨城県古河市『ぬた屋』の「ざっこ煮」 千葉県我孫子市の「ざっこ煮」

我孫子市は広大な水域である手賀沼の畔にある。江戸時代には利根川から松戸を結んで、生魚を運ぶ幹線ルートにも含まれている。当然、川魚を食べる食文化があり、「ざっこ」なども盛んに食べていたはずである。 ただ残念なのは手賀沼では専門に沼の淡水生物をとる人はいない模様で、我孫子で買った「ざっこ煮」も本来の形ではなかった。 「ざっこ煮」は小魚には大小があり、またスジエビなどが混ざるのが当たり前なのである。 ここで買ったものはタモロコとモツゴで、あまり大小がないのも残念な点である。 当然、手賀沼のざっこではなく、印旛沼、もしくは霞ヶ浦で揚がったものだ。 ただし煮つけとしての甘さ加減、わたのほろ苦さなどとても美味ではある。

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