. クスノキ〔樟・楠〕
クスノキ〔樟・楠〕
クスノキ〔樟・楠〕

クスノキ〔樟・楠〕

クスノキ〔樟・楠〕

クスノキ科クスノキ属(常緑広葉樹)

本州中南部から四国、九州、沖縄、済州島、台湾、中国南部、インドシナに分布

クスノキの葉をちぎると、ツンとする樟脳の香りがします。クスノキは独特な芳香を持つことから「臭し(くすし)木」がその語源。また、クスノキの葉や煙は防虫剤や鎮痛剤として用いられ、「薬の木」を語源とする説もあります。クスノキ材は防虫効能から家具や仏像などにも広く使われてきました。

クスノキの巨樹(熊本城公園)

葉の寿命は約1年。古い葉は赤く染まり落葉する

若葉は展開すると、橙黄色の葉がしだいに緑色になってゆく

花は黄緑色で花被は上部で6つにわかれる

葉は卵形。葉脈がつけ根近くから3本に分かれることが特徴

果実は秋に黒く熟す。直径8mmほど、表面には光沢がある

樹皮は暗灰褐色、短冊状に縦に裂け目が入るのが特徴

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クスノキは強く丈夫な長寿の木

クスノキは主に関東以西に生育しています。環境汚染に強く、丈夫な早生樹(早く生長する樹木)であるため、街路樹としてよく見られます。また、寺社や庭園では、巨樹を見かけることもあります。クスノキの巨樹の姿から、延命・長寿を願って「楠(クス、クスノキ)」という漢字が人名に多く用いられるようになったといわれています。特に、紀州和歌山では、例えば、南方熊楠(※)のように南紀特有の人名に「楠」の字をつける風習があったといわれています。また、古来、中国では、深山幽谷(しんざんゆうこく)にあるクスノキの巨木は、隠者が想いを託す木であり、クスノキは高貴な木であったようです。

※南方熊楠(みなかた くまぐす|1867~1941)は、日本の博物学者・生物学者・民俗学者。日本で環境保護運動のきっかけをつくり、「エコロジー」という言葉を広めた人物として知られています。

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葉脈の分かれ目に「ダニ部屋」がある!

三行脈の分かれ目にダニ部屋があり、ダニが棲んでいる

クスノキの葉は葉脈がつけ根近くから3本に分かれる(三行脈)が特徴です。その分かれ目に「ダニ部屋」と呼ばれる1mmほどのふくらみがあり、そこにダニ(フシダニなど)が棲んでいます。 しかし、多くのムシやダニの仲間は樟脳のにおいを嫌うため、たいていは近づきません。そのため、クスノキの多い林の地面は分解が遅く、落葉の層が厚くなります。 なぜ、クスノキはフシダニに部屋を提供しているのか、なぜフシダニが近づけるのか、共生なのか寄生なのかもわかっていません。

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クスノキ(樟)の樟脳の香りで防虫効果

クスノキ材の防虫効果を活かして、さまざまなものに使われる

クスノキは木材や葉から樟脳の成分が取れ、天然樟脳として珍重されています。樟脳の香りには、防虫効果があるため、木製箪笥などの家具類に利用されています。洋服箪笥などで、扉を開けると樟脳の芳香のすることがあります。これは内貼りにクスノキの板あるいは合板を貼って、防虫機能を持たせているためです。 また、美術の展覧会などで、強い芳香に気が付くことがありますが、これはクスノキで作った作品が中にあるからです。 その他にもクスノキは、建築(社寺など)、仏像、器具、楽器、箱、ひきもの、木魚などの素材として使われています。

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巨樹ランキングトップ10のうち8本がクスノキ

自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査) 「巨樹・巨木林調査」の結果から幹周のトップ10をまとめたものです。この10本のうち、8本はクスノキです。さらに、11位、12位ともにクスノキで、その後もクスノキが多く登場します。 巨樹ランキング1位の「蒲生の大楠」は、推定樹齢1500年、幹周が24m(根回りは約33m)もあります。これらのクスノキは、国や市の天然記念物に指定されています。

順位 樹種名 名称 幹周(m) 樹高(m) 樹齢(年) 1 クスノキ 蒲生の大楠(鹿児島県姶良郡) 24.2 30 1500 2 クスノキ 来宮神社の大クス(静岡県熱海市) 23.9 20 300 3 イチョウ 北金ヶ沢のイチョウ(青森県西津軽郡) 22.0 40 1000 4 クスノキ 本庄の大クス(福岡県築上郡) 21.0 23 1900 4 クスノキ 川古の大楠(佐賀県武雄市) 21.0 25 3000 6 カツラ 権現山の大カツラ(山形県最上郡) 20.0 40 300 6 クスノキ 衣掛の森(福岡県糟屋郡) 20.0 20 300 6 クスノキ 武雄の大楠(佐賀県武雄市) 20.0 30 300 6 クスノキ 藤崎台のクスノキ群(熊本県熊本市) 20.0 23 300 10 クスノキ 柞原八幡宮のクス(大分県大分市) 18.5 30 3000

※樹齢は、それぞれ記載年以上の樹齢で、伝承も含んでいます。

〔注〕 中国では「楠」はタブノキの仲間を指し、クスノキの仲間は「樟」。日本ではこれを厳密に区別せず、クスノキを「樟」または「楠」と書くこともあります。

〔参考文献・出典〕環境省「自然環境保全基礎調査(緑の国勢調査)」/奥多摩町日原森林館 / 小学館「葉で見分ける樹木」(林将之著)/学習研究社「日本の樹木」/日本木材総合情報センター「木net」/木材・合板博物館「PLY」

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