迷走神経反射(VVR)とは?看護師が知るべき原因・観察・対応
迷走神経反射(VVR)とは?看護師が知るべき原因・観察・対応 2025 6/18 目次迷走神経反射(VVR)とは?
迷走神経反射(Vasovagal Reflex)とは
・緊張・痛み・排便・長時間の立位
などによる体の興奮を鎮めようと、副交感神経(迷走神経)が過剰に働いたことで起こる反応。
心拍数と血圧が急激に低下することで、脳や全身の血流が低下して、悪心や冷汗、一過性の意識消失などの症状を引き起こす。
現場では、迷走神経反射が起きた状態を『ワゴった』と表現することがある。「ワゴ」は、英語の迷走神経反射「Vasovagal Reflex(バソバーガル リフレックス)」に由来した俗語。ただし、正式な記録や報告では「迷走神経反射」または「VVR」と表記する。
病態生理
STEP強い刺激(ストレス)を受ける!緊張・痛み・排便・長時間の立位など
STEP交感神経が刺激され、心拍数・血圧上昇!体は戦闘モード!
STEP副交感神経で興奮にブレーキ!これではマズいと、からだは興奮を鎮めようとする。
STEP副交感神経(迷走神経)が過剰に働きすぎる!!交感神経の刺激が強すぎると反動で迷走神経(からだのブレーキ)が働きすぎる。
STEP血圧・心拍数が急激に低下脳虚血・循環血液量の低下により諸症状を引き起こす。
副交感神経と迷走神経の違いを復習♪副交感神経は、自律神経の一部で、体をリラックスさせる働きをもつ神経系。心拍数を下げたり、消化を促進したりといった作用がある。迷走神経は、副交感神経のうちの主要な経路のひとつ(第10脳神経)で、特に心臓・肺・胃腸などの内臓に広く分布している。つまり、👉 迷走神経は「副交感神経の一部」👉迷走神経反射は、一部の副交感神経が過剰に働いた状態
原因
1,採血・注射・点滴時の痛みや恐怖心血液や針に対する強い恐怖心が誘因となりやすく、特に若年者や初めて採血を受ける人で多く見られる。一般的には『貧血で倒れた』と誤解されやすいが、実際には血液の量ではなく、自律神経の反射が原因で起きる。
2,長時間の起立学校の朝礼や式典、満員電車などで長時間立っていると、下肢に血液がたまりやすくなる。これにより心臓へ戻る血液が減り、自律神経が調整しようとする中で、迷走神経が過剰に働くことで、血圧や心拍数が急に下がって失神を起こすことがある。痩せ型の若年者や脱水状態の人に多い。
3,排尿・排便時(排尿失神、排便失神)夜間トイレでの失神など、特に高齢者や男性に多い。腹圧がかかることで副交感神経が過剰に刺激され、失神を招く。転倒・頭部外傷のリスクが高い。
4,強い緊張やストレス恐怖・不安・悲しみなどの感情刺激で起こることがある。医療現場では、検査や診断結果の説明時にも見られる。
症状
- 顔面蒼白
- 悪心・嘔吐
- 冷汗
- 視野の狭窄
- めまい・ふらつき
- 動悸、不安感
血圧低下がさらに進行すると…
- 一過性の意識消失(通常は30秒以内)
- 転倒
合併症
- 転倒による外傷(頭部打撲、骨折など)
- 頻回のVVRによる社会生活への影響(医療恐怖、採血忌避)
- 心因性反応の増悪(不安障害、パニック障害など)
重症度分類
明確な国際的重症度分類はないが、以下のように臨床的に分類されることが多い。
軽度前駆症状のみ、意識消失なし 中等度短時間の意識消失を伴うが自然回復 重度意識消失が1分以上持続、外傷や頻回の発作を伴う看護師としての対応と治療
急性期の対応 1,意識レベル・バイタルサインの確認呼名に対する反応、呼吸、顔色を確認。バイタルは、ひとまず頸動脈・橈骨を触診して、おおよその血圧と脈拍数を把握する。
2,臥位+下肢挙上!(ショック体位)血液を脳に送りやすくし、意識を回復を促す。嘔吐リスクがある場合は、側臥位も可。
3,バイタルサインの測定ここでしっかり、血圧、脈拍、SpO2、体温を測定し、記録する。
徐脈、著しい血圧低下が続く場合には、速やかに医師に報告。
(必要時)酸素投与SpO₂低下(90%以下)やチアノーゼを認める場合は酸素投与を検討。
(必要時)アトロピン投与徐脈が顕著(40拍/分以下)で、血圧が持続的に低下し、意識回復が遅れる場合には、医師の判断でアトロピン硫酸塩(0.5mg静注)を投与することがある。
4,衣類・環境の調整締め付けている衣類を緩める。
観察室や病室に移動し、安静にできる環境を整える。
5,外傷のチェック転倒時の頭部打撲や手足の骨折、擦過傷などを観察。
高齢者では特に後頭部・仙骨部の皮下出血や骨折に注意!
6,経過観察意識回復後も15~30分はバイタルと意識レベルをモニタリングする。
繰り返す場合や重症例の対応- 内科や循環器科での精査を勧める。
- ホルター心電図や起立試験などの追加検査を検討。
看護師国家試験【過去問】に挑戦!
■ 第107回(2018年)出題問題:20歳の女性。健康診断の採血中に顔面蒼白となり、意識を消失した。すぐに意識は回復し、バイタルサインも正常であった。このときの失神の原因として最も考えられるのはどれか。
選択肢:1.低血糖発作2.過換気症候群3.心因反応4.迷走神経反射
■ 第110回(2020年)出題問題:20歳の女性。採血後に「気分が悪くなった」と訴え、冷や汗をかき、顔面蒼白、脈拍56/分、血圧88/60 mmHgであった。このときの対応で適切なのはどれか。
選択肢:1.腹臥位にする2.呼吸を促す3.温罨法を行う4.仰臥位にして足を挙げる
答え第107回(2018年)正答: 4.迷走神経反射第110回(2020年)正答: 4.仰臥位にして足を挙げる
参考文献
- 日本循環器学会. 「失神の診療ガイドライン2022」
- 日本救急医学会. 「救急初期対応マニュアル」改訂第4版, 2020
- Freeman R et al. “Consensus statement on the definition of orthostatic hypotension, neurally mediated syncope and the postural tachycardia syndrome.” Clin Auton Res. 2011
- 国立病院機構大阪医療センター看護部教育資料「迷走神経反射に関する注意事項」2022年版
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