本好きの秘密基地
今回は横溝正史さんの『黒猫亭事件』を紹介します。
この100分シリーズ、読みやすそうで装丁もかわいくて、ついつい手に取ってしまいます。
帯に「金田一耕助」とある。え、あの、金田一耕助!?
作者さんを知らなかったので、あの有名な金田一耕助のお話とはびっくり。そしておもしろそうです……!
目次
- あらすじ
- 感想
- ※ネタバレ区域※
- 第一の殺人
- 黒猫の謎
- 第二の殺人
- 最後に
あらすじ
巡回中の警官が音を聞きつけて黒猫亭の庭へ入っていくと、お坊さんが遺体を掘り起こして腰を抜かしていた。
その遺体の顔は判別できない程に腐敗が進んでいた。
遺体の身元は誰なのか。
黒猫亭で一体何が起きていたのか。
「顔のない屍体は入れ替わりトリック」という公式を覆し上回る、予想外の結末とは。
感想
私の頭脳は作者の思うつぼだった。
やっぱり! 私の推理合ってる〜!!
なんて、舞い上がってしまって。
そこから覆されて愕然としました。
顔のない屍体は入れ替わりトリックっていう前置きがあったにも関わらず、そのまま入れ替わりトリックだと信じて疑わなかった私。
普通に考えて、こんな前置きがあったらミスリードなのに……!笑
そんな「顔のない屍体=入れ替わりトリック」という公式を越えたトリックに驚かされました。
この公式を逆手に取った、手の込んだトリック。
それでも金田一耕助は、すんなり見破る。
さすが、じっちゃん!
やっぱり、じっちゃんはすごかった。
金田一少年が「じっちゃんの名にかけて」と言うのも大納得です。
黒猫亭で発見された遺体の姿に、この事件のおそろしさをまず感じ、これはミステリーとしておもしろいことになりそうだぞという予感は的中でした。
殺害現場の処理の甘さ、わかりやすいくらいに周囲に見せつけられた嫉妬、愛人関係。
突発的ならまだしも、もしこれが計画的犯行であれば、あまりにも脇が甘い。
つまり、あえて残したと取れる。
でもなぜ証拠や動機らしきものをあからさまに残したのか。
意図が掴めません。
黒猫の死骸も、関係ありそうだけれどわからない。
そんな感じで、どうも妙なのです。
一筋縄ではいかない事件なのは確かです。
犯人の計画はとても賢くて、人の心理をうまく利用しているなと感じました。
思い込ませるのがとてもお上手。
そして、手段を選ばない。
自分の足かせになっているものをなくすためならば、罪のない、無関係な人や動物も手にかける。
残酷に思えるけれど、犯人の必死さがそこにあらわれている気がします。
少しグロテスクな事件ではあったものの、動機に思いを馳せると、切なくなってしまったりもして。
罪を犯したのだから許されないけれど、犯人の強かさにグッとくるものがありました。
※ネタバレ区域※
今回の事件の本当のトリックをまとめていきますので、未読の方はお気をつけ願いたい。
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第一の殺人遺体は小野千代子でした。
糸島マスターと一緒に日本へ帰国した女性で、鮎子とされた人物です。
ただ、彼女は本当は愛人ではなかったのです。いいようにされただけの、お気の毒すぎる女性でした。
犯人はお繁です。
動機は、彼女を犯人に仕立て上げるためです。
殺されたのはお繁と見せかけ、その犯人が鮎子であると思わせるための、つまりお繫の身代わりとして殺害されたのでした。
黒猫の謎
出先から戻った糸島に、部屋の血は誤って殺めてしまった黒猫のものだと勘違いさせるために、黒猫を連続で殺害したということです。
千代子の血痕をごまかすために黒猫は殺められたのでした。
第二の殺人
こちらが本命で、犯人はお繫ですが、手を下したのは日兆。
日兆を色仕掛けで共犯者として取り込んで、この事件を計画したということです。
だから日兆の証言は当てにならなかったということですね。
お繁が日兆を甘く見ていて、最終的には計画が完遂されず追い詰められてしまいました。
最後に
見事に公式的な結末以上の結末で、あっどころか、えぇ! と言わされました。
予想外の着地、とてもおもしろかったです◎
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