あんたのせいでPTSDになった…すべて「他人のせい」にする自称「被害者」の実態
2021.11.03- #ライフ
本当の被害者はどこにいる?
トイアンナ
ライター
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仕事柄、「被害者」と知り合う機会が多い。私は恋愛について書く仕事をしている。記事を書く過程で、これまでに2000人以上から人生相談を受けてきた。その中にはときおり、DVや性犯罪など、事件性すら絡む案件が入り込む。そのため、必然的に恋愛ライターは警察や病院、弁護士事務所と連携する手続きに詳しくなる。
ところで、DVやモラハラ、スラップ訴訟(自分への批判を封じ込めるため、いやがらせ目的で行う訴訟)の加害者は、自分を「被害者」だと感じていることが多い。そのため、これらの相談に乗ると、被害者も加害者も「私こそ被害者だ」と訴えるケースに直面する。
なぜ、加害者は自分を被害者だと思ってしまうのだろうか。
-AD-「自称・被害者」に振り回された
ここで、2年前に聞いた事例を紹介したい。福岡県に住む20代の時子さん(仮名)は、アパレルショップの店員だった。しかし、彼女は職も友人も失うトラブルに見舞われてしまう。
Photo by iStock(画像はイメージです)きっかけは、マッチングアプリだった。一般的にマッチングアプリといえば、婚活目的で異性と出会うものが多い。しかし、時子さんは同性も含め友達を探せるアプリを使っていた。そこで趣味を通じて仲良くなったのが、30代の彩夏さん(仮名)だった。
彩夏さんは時子さんを妹のように可愛がり、いろいろな情報を教えてくれた。SNSを通じてリアルでつながると、趣味の手芸サークルにも入れてくれた。時子さんは、当時のことをこう述懐する。
「なんだか頼れるお姉さんができたような気持ちでした。ちょっと押しが強いところもあったんですが、それも『頼れる姉御』って感じで。けっして、変な感じじゃなかったんです」
ところが、事態は悪化する。彩夏さんを招いてホームパーティを開催したことをきっかけに、彼女が時子さんに急接近してきたのだ。
「最初は『ちょっと、あれ買ってきてくれる?』『今から電話していい?』といった、軽いものだったんです。でも、だんだん要求が激しくなってきて。彩夏さんと私は、同じ手芸の趣味があったんですけど、『その個展を開くから留守番をしろ』だとか、『集客を手伝え』と。
私の自宅にも月に1週間以上滞在するようになって。その間、料理・洗濯も全部担当させられました。彩夏さんが手芸の作品に使う素材も、私の家にあったものを勝手に使われてしまいました」(時子さん)
彩夏さんに悩まされていたのは、時子さんだけではない。周囲の手芸サークル仲間は、彩夏さんの過剰な依頼に困っていた。
そして、何人かは彩夏さんと距離を置き始めた。すると、彩夏さんは「あんたのせいでPTSDになった。慰謝料をよこせ」と、メッセージを送りつけ、SNSで「○○さんに人生を台無しにされた。絶対に許さない」と中傷を始めた。
時子さんは、追い詰められていた。
Photo by iStock -AD-デマを流され、会社を辞めることに…
「制裁」に怯えた時子さんは、彩夏さんと縁を切るに切れなかった。しかし、仲間はどんどん去っていく。時子さんは、手芸サークルで彩夏さんとつながる、最後のひとりになってしまった。そこでついに、「個展が終わったらブロックしよう」と決意したという。
そして、時子さんは個展後にそっと「私もこれから本業が忙しいので、ちょっとお手伝いは難しいです」と伝えた。
ところが、これにも彩夏さんは激怒する。時子さんの会社へ「お宅の社員、時子さんって言う方がね、副業していますよ」と嘘の報告をしたのだ。時子さんは彩夏さんの個展を手伝ったが、これはボランティアに過ぎない。
それを副業禁止の会社へ、あたかも仕事として引き受けたかのように「密告」したのである。時子さんが会社で釈明したことで疑いは晴れたものの、会社にいづらくなった時子さんは退職へ追いやられた。そして、時子さんはSNSのアカウントも消した。
そして今でも、彩夏さんは「時子さんは親友だと思っていたのに、深く傷つけられた。時子さんのせいで鬱になった」と発信している。
Photo by iStock -AD-これまでに見てきた加害者の手口
実は、こういった嫌がらせは加害者が取る典型的な手口である。時子さんの事例に限らず、これまで相談を受けてきた事例に共通した、加害者のやり口を紹介する。
<加害者が自分を被害者に見せる手口> ・自分が相手のせいで鬱になった、PTSDになったなどと訴え、被害者として慰謝料を請求する。なお、訴訟では勝てないとわかっているため、示談で済ませようとする。 ・自分の仕事を手伝わせ、それを「取引があった」「副業だ」として相手の職場へ密告する。 ・他の友人を近づけたり、恋愛対象を紹介したりして「あんなに助けてやったのに」と恩を着せることで、常識を超えた範囲の手伝いをさせる。 ・相手の家へ遊びに行ったり、手紙やプレゼントを送ったりすることで住所を特定したがる。後日その住所は、慰謝料請求や嫌がらせに使われる。 ・自分と距離を置きたがる人を「敵」と認識する。そして、友人にその悪口を広めることで、自分と一緒に「敵」を攻撃してもらえるよう依頼する。依頼を聞いてもらえないと、友人も敵とみなす。 ・攻撃したい相手の友人や恋人を狙う。SNSで交友関係を特定して攻撃したり、時には恋人の職場にまで無言電話などの嫌がらせを行ったりするケースもある。そして何よりも恐ろしいことに、加害者はこれを無意識にやっている。彼ら・彼女らは、決して悪い顔をして近づいてくる悪人ではないのだ。
自分を「被害者」だと思っている
DVやモラハラの加害者に話を聞くと、「自分こそ被害者だ」と思っているケースが大半だ。なぜなら、加害者の目には世界が以下のように映っているからである。
「自分は、善意でいろいろ相手へ尽くしてあげた。プレゼントしたり、遊びに誘ったり、時には恋人候補を紹介してあげた。それなのに、ちょっと人生相談をしたり、仕事を手伝ってもらったりしただけで、いきなり絶縁された。私は結局、利用されるだけ利用されて、捨てられた。なんてひどい人! 許せない!」
そして、加害者はこの思いをSNSや友人へ発信する。加害者側からの情報だけを受け取っている人は、「可愛そうに」と、加害者へ同情するだろう。だが、加害者はそのまま同情した人へも依存する。そうして、加害者は次のコミュニティも破壊するわけだ。
-AD-筆者は、常に裏切られた、見捨てられたと感じる加害者にも同情する。だが、こういった人が一人いるだけで、サークルや組織はズタズタに壊されてしまう。だから、私もこういった人に出会っては、そっと距離を置いてきた。
こういった性質を持つ方の対応は、精神科医や臨床心理士、公認心理師といったプロにおまかせするしかない。そして、専門家のもとへたどり着く加害者は、ごく限られるのが現状だ。
どうやって見分ければいいのか?
では、トラブルが起こったとき、どうやって「コミュニティを破壊する加害者」と「本当の被害者」を見分ければいいだろうか。これまでの経験から、いくつかのポイントを紹介しよう。
<被害者と加害者を見分けるコツ> ・加害者は、相手がどこまで自分の依頼を聞いてくれるか試すように、徐々に負担を増やしていく。人生相談に乗っただけのつもりが、連日電話がきたり、家まで押しかけて来たりなど。加害者は、相手が限界になるまで寄りかかる。 ・被害者は何度も同じ被害を語りつづけることで、少しずつ癒やされていく。ある被害から回復するのには何年も、何十年もかかることがある。一方加害者は、敵と認定する相手や、受けた(と本人が話す)“被害”がコロコロと変わる。そのため、ひとつの案件について何年にもわたって被害経験を語らない傾向にある。 ・被害者は「怒り」の感情を抱くまでに、数時間から数年以上もの時間がかかることもある。たとえば、10年以上前の虐待を「あのとき、私は虐待されていたんだ」と後から気づくなど。これに対して加害者は、怒りをすぐに表す傾向がある。 ・加害者は、「SNSで拡散してください」「共に批判する声明を出しましょう」「連名で相手の勤務先へ訴えましょう」と、復讐に周囲を巻き込みがちである。 ・加害者はコミュニティを破壊するので、3年以上続く友人関係を持ちづらい。また、家族とも疎遠になりやすい。 ・加害者はよく「裏切られた」「見捨てられた」「嫉妬で嫌がらせをされた」といった言葉を使いたがる。-AD-もちろん、全部の被害者や加害者が上記に則った行動を取るわけではない。あくまでも、筆者が相談を受けてきた事例から導出した一つの傾向だ。ただ、あなたが「もしかして」と思ったときの、参考になれば幸いである。
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