Studying Intellectual Property Law
こんにちは
IDSで出てくる概念で「Duty of Candor and Good Faith」(誠実義務)というのがあります。
難しい英語表現ですが、これを掘り下げてみましょう。
AIによる解説
「Duty of Candor and Good Faith」(誠実義務)は、米国特許法における重要な概念で、特許出願の審査および関連手続きにおいて、出願人、その代理人(弁護士・弁理士)、および出願に関与するすべての個人が、米国特許商標庁(USPTO)に対して誠実かつ善意で対応する義務です。
主な内容この義務の核心は、「情報開示義務(Duty of Disclosure)」です。具体的には、特許性にとって重要(material)な情報を、USPTOの審査官に開示しなければなりません。この義務は、出願時だけでなく、出願手続きが継続している間も続きます。
開示すべき情報(material information)開示が求められる「重要な情報」は、以下のようなものです。
- 先行技術文献(Prior Art): 既知の特許、学術論文、雑誌記事、カタログ、ウェブサイトなど、発明の新規性や進歩性を否定する可能性のある情報。
- 関連情報: 発明が既に販売・公開されていたという情報、他の出願や訴訟で引用された情報など、特許の有効性に影響を与えうるすべての情報。
これらの情報は、特許出願の審査を効率的かつ公正に進めるために、審査官が特許性を判断する上で不可欠であると見なされます。
違反した場合のペナルティこの義務に違反して、重要な情報を意図的に隠蔽したり、虚偽の情報を提出したりすると、**「不正行為(Inequitable Conduct)」と判断される可能性があります。不正行為と認定された場合、その特許は強制執行不能(unenforceable)**となり、特許権を行使できなくなります。このペナルティは非常に厳しく、侵害訴訟で相手方から主張されることが多いため、米国特許出願では情報開示の徹底が非常に重要です。
この義務を果たすために、出願人は通常、「情報開示陳述書(Information Disclosure Statement, IDS)」をUSPTOに提出し、知っているすべての関連情報を網羅的にリストアップします。
特許権の公共性
特許権は、発明を独占的に利用できるという強力な権利である一方で、社会全体への貢献も求められます。発明の開示と引き換えに、国家が独占権を付与するという**「公共の契約」**と見なされます。
この契約の前提として、特許の有効性は社会全体にとっての重要な関心事です。もし特許が不正な情報に基づいて付与された場合、それは無効な権利となり、社会のイノベーションを阻害する可能性があります。無効な特許が放置されると、第三者がその技術を自由に利用できなくなり、競争が阻害されるためです。
このため、特許出願人が審査プロセスにおいて誠実に行動することは、特許制度の健全性を維持し、社会全体の利益を守るための義務と位置づけられています。デューティ・オブ・キャンダーは、この公共の利益を守るための重要な安全弁として機能しています。
知らない情報を積極的に調査する義務は?
IDS(情報開示陳述書)のために、知らない情報を積極的に調査する義務はありません。
誠実義務(Duty of Candor)は、**「知っている(known)」**重要な情報を開示する義務です。つまり、出願に関わる者(発明者、出願人、代理人など)が、現実に認識している特許性にとって重要な情報(先行技術、関連情報など)を、自発的にUSPTOに提出することが求められます。
しかし、この義務は、未知の先行技術を探すための広範な調査義務を課すものではありません。
- 「知っている」情報の開示: 義務の対象は、既に知っている情報に限られます。例えば、自社の研究開発中に見つけた文献、他国の特許出願の審査過程で引用された文献、または関連訴訟で引用された文献などです。
- 調査義務はなし: IDSのために、あえて調査を行ったり、追加の先行技術調査を実施したりする義務はありません。
- 違反の判断: 誠実義務違反(不正行為)は、**「知っている情報を故意に隠した」**場合に成立します。単に知らなかった情報が開示されていなかったというだけでは、通常は不正行為とはみなされません。
ただし、日本の出願で引用された拒絶理由や先行技術調査報告書に記載された文献は、通常、出願人や代理人が「知っている」情報と見なされるため、米国出願のIDSで必ず開示する必要があります。
ここまでAIによる解説