. 2026年F1の「新ライトシステム」徹底解説、スーパークリッピングと”3種の赤点滅”の正体
2026年F1の「新ライトシステム」徹底解説、スーパークリッピングと”3種の赤点滅”の正体
2026年F1の「新ライトシステム」徹底解説、スーパークリッピングと”3種の赤点滅”の正体

2026年F1の「新ライトシステム」徹底解説、スーパークリッピングと”3種の赤点滅”の正体

2026年のF1プレシーズンテストでは、マシンに搭載されたライトが幾度も点灯する場面があった。なかでも目を引いたのが、リアライトが高速で赤く点滅し続ける光景だ。この現象はパドックで「スーパークリッピング」と呼ばれている。

2026年の大幅なレギュレーション改訂に伴い、F1はマシンのライトシステムを刷新した。新世代マシンには、コックピット脇のリアビューミラーに橙色のライト(ラテラルライト)が導入され、さらに車体後部に装着されるリアライトは、180gの軽量化を目的に楕円形へと変更された。

これらのライトの点灯パターンや色の違いは、何を意味するのか。

  • ラテラルライト:他車への停止・減速警告
  • 多機能なリアライト
    • MGU-Kの作動状況を可視化
    • 「スーパークリッピング」の正体
    • リアライトが使われるその他9つの状況
    • 青色ライトの特殊な用途
  • 衝撃警告ライト:医療チームへ通知
  • ライト不良は即座にピットへ

ラテラルライト:他車への停止・減速警告

Courtesy Of Haas

2026年型F1マシンに搭載されたラテラルライトが点灯しているイメージ

新たに追加されたラテラルライトは、側面および前方から視認できるよう、左右のミラーの両端に組み込まれている。マシンが時速20km未満で走行している場合や、コース上で停止している場合に点灯し、周囲に警告を発する役割を担う。

また、レーススタート時にはギアがニュートラルに入っている際に点灯し、1速に入ると消灯する。後続車や周囲のマシンに注意を促す狙いがある。

2026年シーズンでは、スタート時のターボラグが問題視されている。ラテラルライトは、スタートに失敗したマシンの存在を他車に伝える重要な安全装置となる。

多機能なリアライト

Courtesy Of McLaren

2026年型F1マシンの車体後部に搭載されている3つのリアライトの名称と位置

より複雑なのがリアライトだ。後部衝撃構造(マシン後方に突き出た棒状の構造体)に取り付けられる楕円形ライトと、リアウイング左右のエンドプレートに装着されるライトの計3カ所で構成される。

MGU-Kの作動状況を可視化

後部衝撃構造ライトとリアウイング・ライトは、”一部の例外”を除いて同期する。主な目的の一つは、MGU-Kの作動状況を他車に伝えることだ。これは「ERSステータスライト」と呼ばれ、状況に応じて次の3種類の表示がある。

  • 赤点滅1回: MGU-Kによるパワー供給が最大値である350kW未満の場合
  • 赤点滅2回: MGU-Kによるパワー供給がゼロの場合
  • 高速赤点滅状態: エンジン全開中にMGU-Kが充電中の場合
「スーパークリッピング」の正体

上記の3番目、高速で点滅し続ける状態が「スーパークリッピング」だ。これは実質的に、エンジンを使ってバッテリーを充電する行為を意味する。

2026年型パワーユニットは、ICE(内燃エンジン)とほぼ同等の出力をMGU-Kが担う構成で、電動依存度が極めて高い。一方で、1周を通じてMGU-Kをフル出力で使い続けることはできない。そのため各チームは、様々な走法で回生を試みている。

その内の一つがスーパークリッピングだ。これは、アクセルペダルをベタ踏みにしてエンジン全開状態を維持しつつ、MGU-Kを回生モードにしてバッテリーを充電するというものだ。

つまり全開にもかかわらず、クルマは減速することになる。この挙動は後続車にとって予測が難しい。ストレートの途中で前走車が突然減速すれば、追突の危険が高まる。そこで、高速赤点滅によって「充電中」であることを後続車に知らせる。

なお、安全上の理由から、この際の回生は最大値の350kWではなく250kWに制限される。それでも相当な減速力が発生するため、警告表示は不可欠だ。

リアライトが使われるその他9つの状況

Courtesy Of Audi

2026年型F1マシンの後部衝撃構造ライト及びリアウイングライトが赤色に点灯しているイメージ

ERSステータス表示以外にも、リアライトは以下のような様々な状況を知らせるために使用される。

  • セーフティカー導入時
  • バーチャル・セーフティカー導入時
  • レースコントロールによる路面グリップ不足の宣言時
  • エンジンストール時
  • ギアがニュートラルに入っている時
  • スピードリミッター作動時
  • コース上でエンジンが停止した場合
  • 時速20km未満で走行している場合
  • 雨用タイヤを装着している場合
青色ライトの特殊な用途

前述の「一部の例外」とは、リアウイング・ライトが消灯したまま、後部衝撃構造ライトのみが赤ではなく青で光るケースを指す。

スーパーライセンスを持たないドライバーが、フリー走行限定スーパーライセンスでFP1などに出走する場合、ライトは青色で点灯する。これにより周囲は経験の浅いドライバーが走行中であると認識でき、より慎重な対応が可能となる。

衝撃警告ライト:医療チームへ通知

サバイバルセル(コックピット)の上部に、上向きに埋め込まれているライトは「衝撃警告ライト」と呼ばれる。事故データレコーダーと連動し、クラッシュが発生した際、その衝撃の度合いをメディカルチームに即座に知らせるためのライトだ。

実際の運用では、水平方向で15G、または垂直方向で25Gを超える衝撃が検知された場合、メディカルカーが直ちに出動し、ドライバーに対する精密検査が義務付けられる。

ライト不良は即座にピットへ

安全上の理由から、フリー走行、予選、スプリント、決勝を問わず、最初にピットレーンを出る時点で全てのライトが正常に機能していることが義務付けられる。

一つでも作動しない場合、レースディレクターの裁量によってピットに戻される可能性がある。ただし、修理が完了すればセッションへの復帰が許可される。

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