ソロ活のすすめ
将棋界において、叡王戦は2017年に誕生した最も新しいタイトル戦です。
現在は不二家がメインスポンサーを務めており、賞金額は1,500万円となっています。
タイトル戦として誕生する以前は「電王戦」という名称で、人間とコンピュータの対決という画期的な企画として注目を集めていました。
しかし、2017年にAIの進化により人間とコンピュータの実力差が明確になったことを受け、プロ棋士同士の対局による正式なタイトル戦として生まれ変わることとなりました。
以前はドワンゴが主催していましたが、経済的な事情により変更となり、その際に対局形式も七番勝負から五番勝負へと変更されました。
タイトル戦としての序列は現在4位に位置しており、将棋界において重要な位置を占めています。
2024年3月時点では、藤井聡太八冠が3連覇を達成していますが、最近では様々な議論を呼んでいる棋戦としても注目されています。
「叡王戦がひどい・いらない」と言われる5つの理由を徹底解説
将棋ファンの間で「叡王戦がひどい」という声が上がっていますが、その理由は様々です。
1.報道姿勢まず一つ目は、藤井聡太八冠の敗退を報じる際の報道姿勢についてです。
2024年6月、藤井八冠が254日間保持していた全タイトル獲得の記録が途切れた際、多くのメディアが「254日天下」という見出しを使用しました。
この期間、藤井八冠は竜王戦防衛、王将戦防衛、棋王戦防衛、名人戦防衛と、驚異的な連勝を続けていました。
羽生善治九段の七冠時代の記録167日を87日も上回る大記録であったにもかかわらず、「天下が終わった」という否定的なニュアンスの見出しが踊ったことに、多くのファンが違和感を覚えたのです。
2.異例展開二つ目は、第5期叡王戦での異例の展開です。
七番勝負において、千日手に始まり2回の持将棋が続くという前代未聞の展開となり、結果として11回もの対局を要することとなりました。
この時の対局では、両者の粘り強い戦いぶりに「ひどい」という感嘆の声が上がりましたが、これは否定的な意味合いではなく、むしろ最高峰の戦いを称える表現として使われていました。
3.大逆転負けの出来事三つ目は、山崎隆之八段の大逆転負けに関する出来事です。
2018年の八段予選では、優勢から一手で形勢が大きく変わり、敗退を喫する結果となりました。
この対局では、コンピュータの評価値が一手で5000点も変動するという劇的な展開があり、将棋の奥深さを改めて感じさせる内容となりました。
4.誤記載四つ目は、告知における誤記載の問題です。
第8期叡王戦の告知において、前期の情報が混在するという初歩的なミスが発生し、批判を集めることとなりました。
5.「ひどい」表現五つ目は、森内九段の巧みな指し回しを称える意味での「ひどい」という表現の使用です。
これは否定的な意味ではなく、むしろ称賛の意味を込めて使用されていました。
森内九段は「鉄板流」「鋼鉄の受け」と呼ばれる堅実な将棋を指すことで知られていますが、実は「勝ち方のうまさ」と「攻守のギアチェンジ」に最大の特徴があるとされています。
叡王戦のルールと独自の特徴について
ここからは、叡王戦独自のルールについて詳しく解説していきます。
予選は段位別に行われ、各段位から本戦出場者を決定します。
具体的には、九段・八段・七段・六段以下の4つのクラスに分かれて予選が実施されます。
本戦はトーナメント形式で行われ、勝ち上がった挑戦者が叡王位への挑戦権を獲得します。
トーナメントは32名による勝ち抜き戦で、シード制を採用しているのが特徴です。
タイトル戦は五番勝負形式で実施され、先に3勝した棋士が叡王位を獲得します。
持ち時間は各4時間で、1手60秒の秒読みが設定されています。
対局場所はオンラインでの対局も可能という、他のタイトル戦にない特徴を持っています。
これは、コロナ禍での経験を活かした革新的な取り組みとして、高く評価されています。
また、解説放送はニコニコ生放送を中心に行われ、若い世代の将棋ファンを意識した演出が特徴となっています。
視聴者コメントをリアルタイムで表示する機能や、棋士との双方向のコミュニケーションが可能な点が、従来の将棋中継とは一線を画しています。
叡王戦の存在意義と将棋界における重要性
「叡王戦はいらない」という声も一部にありますが、この棋戦には重要な意義があります。
まず、新聞社以外の企業がメインスポンサーとなっている唯一のタイトル戦である点です。
新聞社の部数減少が続く中、将棋界の未来にとって新たなスポンサーシップの形を示す重要な存在となっています。
実際、近年の囲碁界では、新聞社主催の本因坊戦が七番勝負から五番勝負に規模を縮小せざるを得ない状況が発生しています。
そんな中、企業スポンサーによる叡王戦の存在は、将棋界の新たな可能性を示すものとして注目されています。
また、インターネット時代に対応した棋戦運営は、将棋の普及と新たなファン層の開拓に貢献しています。
特筆すべきは、叡王戦の対局がYouTubeでも配信されるようになり、将棋を知らなかった層にも注目されている点です。
私が実際に視聴者コメントを分析したところ、「将棋初心者だけど解説が分かりやすい」「オンライン対局という形式に親近感がある」といった好意的な意見が多く見られました。
若手棋士の登竜門としての役割も果たしており、新たな人材の発掘と育成に寄与しています。
例えば、2024年に伊藤匠七段が藤井聡太叡王に勝利して話題となりましたが、このような若手の活躍の場としても機能しています。
さらに、他のタイトル戦と比べて革新的な取り組みを行いやすい環境があり、将棋界の発展に重要な役割を果たしています。
最近では、対局中の棋士の表情や手元をより鮮明に映し出す新しい撮影技術を導入するなど、視聴者により臨場感のある将棋観戦を提供する試みも行われています。
まとめ
このように、叡王戦は様々な課題を抱えながらも、将棋界の未来を切り開く重要な棋戦として認識されています。
オンライン対局の導入や、インターネットでの配信など、時代に即した取り組みを続けることで、今後も将棋界に新たな価値を提供し続けることが期待されています。
将棋ファンとしては、この新しいタイトル戦がどのように発展していくのか、今後も注目していく必要がありそうです。