. 宿敵ホーナーの「F1復帰」を阻むかウォルフ、メルセデスがアルピーヌ出資競争に参戦
宿敵ホーナーの「F1復帰」を阻むかウォルフ、メルセデスがアルピーヌ出資競争に参戦
宿敵ホーナーの「F1復帰」を阻むかウォルフ、メルセデスがアルピーヌ出資競争に参戦

宿敵ホーナーの「F1復帰」を阻むかウォルフ、メルセデスがアルピーヌ出資競争に参戦

2026年のF1開幕戦オーストラリアGPで1-2フィニッシュを飾り、コース上で圧倒的な強さを見せつけたシルバーアロー。だが、その野心はサーキット外にも及んでいる。メルセデスがアルピーヌF1チームの株式取得に向けて動き出したと、イギリスの有力紙『The Telegraph』が報じた。

この動きが極めて興味深いのは、この株式を狙うのがメルセデスだけではない点だ。昨年レッドブル・レーシングを解雇された元チーム代表クリスチャン・ホーナーは、F1復帰の足掛かりとして同チームの株式取得に向けた協議を進めている。

報道によると、メルセデスF1のチーム代表兼CEOであり、投資家としても名を馳せるトト・ウォルフがこの動きを主導している可能性があるという。かつてチャンピオンシップを争い、パドック随一の犬猿の仲として知られる二人の指揮官が、今度はチームのオーナーシップを巡って直接対決を演じる可能性が出てきた。

Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

ジョージ・ラッセルとアンドレア・キミ・アントネッリの1-2フィニッシュを喜ぶトト・ウォルフ(メルセデス代表)、2026年3月8日(日) F1オーストラリアGP決勝(アルバート・パーク・サーキット)

24%の株式を巡る場外バトル

焦点となっているのは、アメリカの投資会社Otro Capitalが保有するアルピーヌの株式24%だ。

アルピーヌのエグゼクティブ・アドバイザーを務めるフラビオ・ブリアトーレは今年1月、ホーナーが投資家グループと共にこの株式に関心を示していることを認めた。だが、そこにメルセデスという強力なライバルが浮上していたことは明らかにされていなかった。

報道によると、Otro Capitalはこの24%の株式価値を約4億4800万ポンド(約950億円)と評価しているという。取引の成立には、アルピーヌF1チームの親会社、筆頭株主であるルノー・グループの承認が必要となる。

「複数チーム所有」が生む新たな懸念

もっとも、アルピーヌ株を巡る交渉の席で優位にあるのはウォルフかもしれない。

メルセデスはすでにアルピーヌとの間で、2030年末までパワーユニット(PU)及びギアボックスを供給する契約を結んでおり、ルノーの承認に向けた交渉材料は事欠かない。もし今回の出資が実現すれば、両チームの技術的・商業的な結びつきは一層強固なものになる可能性が高い。

Courtesy Of Alpine Racing

バーレーン・インターナショナル・サーキットを走行するアルピーヌの2026年型F1マシン「A526」、2026年F1バーレーンテスト

だがF1において、こうした複数チームの所有はライバルチームからの反発を招く可能性がある。マクラーレンのザク・ブラウンCEOはかねてから、レッドブルが2つのチームを所有している状況を批判してきた。

技術情報の共有や公平性の観点から「利益相反が生じる」と訴えるブラウンにとって、メルセデスが同様の構造を築くことは新たな火種になりかねない。特定の勢力が知識と権力を独占することへの警戒感は、F1パドック全体に根付いている。

2つの意味で揺らぐホーナー復帰のシナリオ

ホーナーはレッドブルで20年にわたり数々の成功を収めてきた。それでも先月、「F1にはやり残した仕事がある」と語り、復帰への意欲を隠さなかった。ただし、単なる雇われのチーム代表ではなく、チーム共同所有者としての復帰を条件に掲げている。

ホーナーはレッドブルとの合意により、今年5月からF1パドックへの復帰が可能になると見られている。これまで複数のチームとの関係が取り沙汰されてきたが、開幕戦を経て一転して再浮上し始めたのはアストンマーティンだろう。

Courtesy Of Aston Martin Lagonda Limited

縁石際を走行するフェルナンド・アロンソのアストンマーティン・ホンダ「AMR26」、2026年3月6日(金) F1オーストラリアGP FP2(アルバート・パーク・サーキット)

プレシーズンテストから続く振動問題の影響で、アストンマーティン・ホンダはまともに周回を重ねることすらできなかった。オーストラリアGPでは2台そろって決勝を「プラクティス」と位置づけ、断続的に走行。フェルナンド・アロンソはリタイヤ、ランス・ストロールは15周遅れの未分類に終わった。

チームのマネージング・テクニカル・パートナー兼チームを務めるエイドリアン・ニューウェイは、設計開発の分野ではF1史上最高クラスの才能かもしれない。だがこれまでの対応を見る限り、危機的状況にあるチームを率い、外部からのプレッシャーを受け止める役割を担うだけの手腕があるようには見えない。

こうした状況から、オーナーのローレンス・ストロール会長が最高経営責任者(CEO)を招き入れ、ニューウェイがパフォーマンス改善に集中できる体制を整える可能性も指摘され始めている。これに、一度は消えたホーナーの名前が上がったとしても不思議はない。

いずれにせよ、ホーナーが望むチームオーナーとしての復帰の扉がウォルフの手によって閉ざされるのか否か。その攻防は今後、大きな注目を集めそうだ。

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